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● 当院の高血圧に対する考え方について(当院通院中の方へ)

1.血圧を下げるだけではダメ

忘れがちですがこれが一番大切な事。高血圧症治療の最終目的は脳卒中・心臓発作などの動脈硬化が進んだ結果起こる病気の予防です。

言い方を変えれば高血圧は脳卒中・心臓発作などを起こす原因のひとつに過ぎません

血圧を下げる事だけにとらわれ動脈硬化を悪化させる他の要因がないかを調べながら一緒に対処する事が重要であると考えています。当院ではこの目的を含めて定期検査を行なっています

※動脈硬化を進める要因には高血圧以外にも糖尿病・脂質異常症(LDLコレステロール・HDLコレステロール・中性脂肪)・喫煙・肥満・慢性腎臓病・メタボリックシンドロームなどいろいろあります。高血圧の方の中には時に「血圧さえ落ち着いていれば大丈夫、それ以外のことは関係ない」と考えている方がいらっしゃいますがこれは大間違い。例えば、血圧が心配で薬を飲んでいるのに、毎日1箱近くタバコを吸っている人。この人のやっている事は「矛と盾」のような組み合わせなのです。

 

2.下げる目標は?

いくつかの調査の結果、いずれの年代においても統計的に脳卒中や心臓発作を起こしやすくする血圧値が高血圧と決められています(下の図)。

このことと年齢・動脈硬化の進みやすい状態などをあわせ考えられたのが以下の目標値です。

【目標血圧】75歳以上:外来血圧150/90未満(可能であれば140/90未満まで下げた方が脳卒中・心筋梗塞を起こしにくい)、早朝家庭血圧145/85未満(可能であれば140/90未満)。若年・中年・74歳までの高齢者:外来血圧140/90未満、早朝家庭血圧135/85未満。腎機能障害・糖尿病:外来血圧130/80未満、早朝家庭血圧125/75未満。当院では脳卒中や心臓発作を予防する為になるべく目標値に近づくようにと考えています。

※これらの目標値より高い値が長い間続くと脳卒中や心臓発作を起こす可能性が高くなりますが、普段落ち着いている血圧が1回や2回140や150程度に上がったからと言ってすぐに危険な状態になるわけではありません。血圧と仲良く付き合っていくためには、1回1回の上がり下がりに振りまわされないことが大切です。

 

3.病状に合った血圧の薬の選択。

「血圧の薬はみんな同じ。」ではありません。その人その人の病気・合併症の状態にあった薬を選ぶ必要があります。10年、20年先の為に、その人の持つ病気・合併症に悪影響を与えない、または良い影響を及ぼす血圧の薬を選ぶことが大切と考えています。

 

4.早朝家庭血圧の重要性

脳卒中や心筋梗塞などの合併症を起こしやすいかどうかの目安(指標)となるのは外来血圧ではなく家庭血圧であるというのが最近の常識となっています。以前行われた調査で、外来血圧が正常範囲であった高血圧患者さんの2人に1人が家庭血圧では高血圧であったという結果が出ています。外来血圧が正常でも、家庭血圧の高い状態が続いた場合、動脈硬化が進行し、脳卒中・心筋梗塞・腎臓機能低下をきたす危険性があります。外来血圧は来院までの状態(朝、夫婦喧嘩をした。用事があるので走ってきた。)、来院後の状態(空いていたのですぐ診察室に入れた。混んでいて長く待ってから診察になった。待合室で見たテレビで興奮した。)で毎回、血圧測定時の条件が違ってしまいます。一定条件で測る早朝家庭血圧は、より本当に近い血圧を測ることが出来ると思われます。外来血圧の結果を盲信してはいけません。可能であれば、時々家庭血圧を測ってみてください。

 
 
 
 
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